シューベルト《Sei mir gegrüßt / 僕の挨拶を》訳詞&音源公開中
今日は、トップページやGalleryに貼っている音源の一曲、フランツ・シューベルト作曲《僕の挨拶を Sei mir gegrüßt Op.20 No.1》のドイツ語原詩と、その対訳をご紹介します。この対訳は、私がコンサートプログラムに載せるために作成したものです。
この詩は、フリードリヒ・リュッケルトによって書かれたもので、遠く離れた相手への切なる想いと愛が、美しい言葉と旋律に込められています。
Sei mir gegrüßt 僕の挨拶を
F.シューベルト / 詩:F.リュッケルト
O du Entrißne mir und meinem Kusse,
Sei mir gegrüßt, sei mir geküßt!
Erreichbar nur meinem Sehnsuchtsgruße,
Sei mir gegrüßt, sei mir geküßt!
あぁ、僕と僕の口づけから逃れた君よ
僕の挨拶を、口づけを受け取っておくれ!
君への憧れしか届かないけれども
僕の挨拶を、口づけを受け取っておくれ!
Du von der Hand der Liebe diesem Herzen Gegebne,
Du von dieser Brust Genommne mir!
Mit diesem Tränengusse
Sei mir gegrüßt, sei mir geküßt!
愛の手によってこの心に与えられた君
この胸から奪われた君
とめどなく流れ出るこの涙と一緒に
僕の挨拶を、口づけを受け取っておくれ!
Zum Trotz der Ferne, die sich, feindlich trennend,
Hat zwischen mich und dich gestellt;
Dem Neid der Schicksalsmächte zum Verdrusse
Sei mir gegrüßt, sei mir geküßt!
遠く離れている事に抗おうとしたけど
運命の力が僕と君を意地悪く隔てた
僕らを隔てたものが不機嫌になる様に
僕の挨拶を、口づけを受け取っておくれ!
Wie du mir je im schönsten Lenz der Liebe
Mit Gruß und Kuß entgegenkamst,
Mit meiner Seele glühendstem Ergusse
Sei mir gegrüßt, sei mir geküßt!
君がかつて愛で溢れた美しい春の中で
僕に挨拶と口づけを贈ってくれた時の様に
心からの情熱的な想いを君へ贈るから
僕の挨拶を、口づけを受け取っておくれ!
Ein Hauch der Liebe tilget Räum’ und Zeiten,
Ich bin bei dir, du bist bei mir,
Ich halte dich in dieses Arms Umschlusse,
Sei mir gegrüßt, sei mir geküßt!
愛の息吹は場所と時間を飛び越えて
僕は君の傍に、君は僕の傍に居て
僕は君を両腕でしっかりと抱きしめる
僕の挨拶を、口づけを受け取っておくれ!
出演・録音情報
この演奏は、2022年4月8日に府中の森芸術劇場ウィーンホールにて開催された《リーダーアーベント ~夜と夢~》でのライヴ録音です。
🎤 北嶋信也(テノール)
🎹 浅野未麗(ピアノ)— KITAJIMA MUSIC WORKSでピアノとソルフェージュを担当しています。
ぜひ音源とともに、この詩のの世界も味わってみてください。